平べったくて目が体の左右片方に寄った特徴的な魚であるヒラメとカレイ。見た目はよく似ていて、初めて見た人なら同じ魚と思ってしまうはずです。
しかし、ヒラメは高級魚で、コリコリした食感の縁側などは寿司ネタとしても好まれ、高い価格でとりひきされますが、カレイは比較的安価な大衆魚です。
今回は見た目はそっくりだけど以外と違う、ヒラメとカレイの違いについて紹介します。
ヒラメとカレイの紹介
ヒラメもカレイもカレイ目の仲間
ヒラメはカレイ目カレイ亜目ヒラメ科、カレイはカレイ目カレイ亜目カレイ科にそれぞれ属するカレイ目の仲間です。同じ種類の魚ではないけど遠い親戚くらいのイメージでしょうか。
カレイ目の魚は左右非対称の体を持つことが特徴です。平たい体をで、左右どちらかに目が偏っていて、目と反対の体側面を海底につけて横倒しになって生活しています。
生まれたばかりの頃は普通の魚のように体の左右に目がついていて体も平たくないのですが、成長するにしたがって目が移動し体も平たく薄くなっていきます。
体が平たくなる変化に合わせて、目がついてる面が褐色から黒色で、反対側は白っぽい色になります。褐色から黒色になる面は色が変化し、海底の色に似た色になって保護色になります。
片方に寄っているのは目だけでなく、内臓など体の中身も片方に寄っていて、左右対称な稚魚から成魚になるまでにビックリするような変身をする魚なんですね。
ヒラメとカレイの違い
ヒラメもカレイも日本人には馴染みの深い魚ですね。食べてみると、どちらも白身魚で淡泊な味わいですが、食感などは大きく違いますよね。
ヒラメとカレイは見た目はよく似ていますが、その生態などは結構違っています。それが味の違いにもなっているのでしょうか。
ヒラメはカレイ目カレイ亜目ヒラメ科に属する魚です。最大で体長1m、体重10kgくらいまで大きくなる、比較的大型の魚です。
薄っぺらい見た目からはイメージできないほど俊敏で、海の底からすばやく飛び上がり、小魚などを食べています。そのため獰猛な性格で、筋肉が発達し、口が大きく、人も噛みつかれることがあるほどです。
カレイは狭義にはカレイ目カレイ亜目カレイ科に属する魚のことです。最大でも体長50cmほどでヒラメの半分くらいの大きさです。
海の底を這うように泳ぎ、海底にいるゴカイなどを餌にしています。カレイと同じように小魚も食べますが、カレイのような俊敏さを見せることはなく、素早い小魚の捕獲はあまり得意ではありません。
ホントはもっと複雑なヒラメとカレイの関係
と、ここまでヒラメとカレイについて書きましたが、ホントはもっと複雑な関係です。というのも、ヒラメとカレイが属するカレイ目には2亜目14科134属678種というとても多い数の平たい魚たち、ヒラメとカレイの仲間がいるからです。
生物学的にはそれぞれ別の種として厳密に分けられますが、ヒラメ科、カレイ科以外の魚も一般的には「○○ヒラメ」とか「○○カレイ」などと名付けられ、それぞれヒラメの仲間、カレイの仲間と考えられることが多いのです。
また、一般的にカレイはヒラメより小さいとされますが、カレイ科の中にも最大で体長3m以上、体重200kgほどにもなり生態もヒラメに似ているオヒョウのような魚もいます。
そんなわけで、ヒラメとカレイもなかなか複雑なのですが、一般的には前に書いたとおりということです。
「左ヒラメに右カレイ」は正しいのか?
昔からある見分け方「左ヒラメに右カレイ」
上の2つの画像、見た目がそっくりで同じ種類の魚のようではありませんか?これを見てどちらがヒラメでどちらがカレイかわかりますか?
正解は上がヒラメで下がカレイです。
さて、答えがわかった人の多くは「左ヒラメに右カレイ」という見分け方で見分けたのではないでしょうか?
「左ヒラメに右カレイ」というのは昔からよく言われるヒラメとカレイの見分け方ですね。目が上になるように置いたときに、左向きになるのがヒラメで、右向きになるのがカレイということですね。
なぜヒラメは左にカレイは右になるのか?
人間の体でもそうですが、脳は左脳と右脳に分かれていて左脳が右半身、右脳が左半身とつながっています。左右の神経が交差しているわけですね。
ヒラメやカレイも同じで左右の目の神経が交差して脳につながっているのですが、ヒラメは右目の神経が上に、カレイは左目の神経が上になっています。学術的にはこの神経の交差の違いでヒラメとカレイを分けているのです。
左右どちらに目が寄るかを決める原因はまだ完全には解明されていないようですが、この神経の交差の違いが影響しているものと考えられています。
「左ヒラメに右カレイ」は正しいのか?
「左ヒラメに右カレイ」は傾向としては正しいといえます。しかし、必ずそうなるというものではありません。ヒラメであっても右になったり、カレイでも左になったりすることがあります。
同じ種類のヒラメ、カレイでも例外的に反対になることもありますが、カレイの仲間でも左になることのほうが多いマコガレイのように、そもそも「左ヒラメに右カレイ」の原則から外れているものもあります。
同じ種類でも地域によって差があることもあって、日本では「左ヒラメに右カレイ」の原則どおりでも海外の別の地域では反対の方が多いといったこともあります。
昔は日本国内で見られる魚は日本近海で採れたものに限られていましたが、近年では海外からの輸入食材も増えていますし、遠洋漁業も盛んですから、世界中の魚が日本に入るようになってきています。
そのため、「左ヒラメに右カレイ」の見分け方が通用しないものも増えているようです。
まとめ
どんな状況でも通用するヒラメとカレイの見分け方はなかなか難しいようです。さらに、最近ではヒラメでもカレイでもないカレイ目の魚が代替魚として流通していたりと、「これがヒラメ」「これがカレイ」となかなか言い切れない事情もあるかもしれません。
一般的にヒラメの方がカレイより高級魚とされることから「高いのがヒラメ、安いのがカレイ」なんてジョークみたいな話もありますが、これにしたってマツカワカレイのようにヒラメより高級なカレイもあったりしますからね。