日本には千円札、二千円札、五千円札、一万円札の4種類の紙幣がありますが、いずれも材料は紙です。特に日本の紙幣はみつまたやマニラ麻を使って作られる上質な和紙からできています。
紙幣は世界中の国で発行され使用されていますが、紙幣という名前の通り、その多くは紙でできています。
ところが、世界には紙ではなく合成樹脂(プラスチック)でできたお札があるのです。ポリマー紙幣とかプラスチック紙幣と呼ばれています。
ポリマー紙幣は1988年にオーストラリアではじめて採用されました。その後、オーストラリアの造幣を行う部門が民営化し、他国に技術を提供するなどして、今では多くの国で採用されています。
すべての紙幣をポリマー紙幣に置き換えた国には、オーストラリアの他に、カナダ、ニュージーランドがあり、イギリス、メキシコ、ベトナムなどは一部の紙幣をポリマー紙幣に置き換えています。
記念紙幣としてポリマー紙幣を発行した国を含めると、すでに世界で20ヶ国以上がポリマー紙幣を発行しています。
ポリマー紙幣が開発されたのは、偽造防止が理由です。材料が特殊で入手しづらく、印刷なども難しいため、セキュリティが向上したそうです。
また、ポリマー紙幣は紙製の紙幣に比べると製造コストが高いのですが、そのぶん耐久性に優れていて、長持ちするのでコスト面でもメリットがあるようですね。
ちなみに、オーストラリアのポリマー紙幣以前にも布や革など紙以外でできた紙幣はありました。
特にポリマー紙幣に近いものとして、アメリカの印刷会社がオーストラリアに先駆けてポリエチレン製の紙幣を開発しています。いくつかの国で使用されましたが、品質の問題からすでに使われなくなっています。
日本では、国が発行した正式な紙幣ではないものの、西郷札という布製の紙幣があります。これは西南戦争で資金難におちいった西郷隆盛率いる西郷軍が資金調達のために発行したものですね。