宇宙空間(真空)に出ても人体が破裂したり血液が沸騰したりはしない | 今日の雑学

宇宙空間(真空)に出ても人体が破裂したり血液が沸騰したりはしない

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SF映画や小説などで、宇宙空間(真空)に人が放り出されると、体が膨らんで爆発したり、血が沸騰したりするのを見たことはありませんか?

多くの作品で使われている演出のため、実際に人が真空中に出ると破裂したり、血が沸騰すると思っている方もいるでしょう。

筆者の場合は子供の頃に映画で見たシーンが印象に残っています。アーノルド・シュワルツェネッガー主演でヒットした映画「トータル・リコール」で、シュワルツェネッガー演じるダグラスが大気のほとんどない火星で放り出されて、全身が膨張し爆発しそうになるのです。

また、宇宙空間は絶対零度(マイナス273.15℃)に近い極寒の世界なのですぐに凍ってしまうというものも見られます。

しかし、これはいずれもまだ宇宙空間に対する研究が進んでいなかった頃の考え方で、現在では否定されています。体が破裂したり、血液が沸騰したりしないことは動物実験により確認されています。

体が破裂するというのは、地球上では常に1気圧の力で全身を押されているため、この気圧がなくなると破裂してしまうという想像からきています。1気圧というのは、約1万kgものおもりを1の板の上に置いたときと同じくらいの圧力です。体は常にその気圧を押し返しているのだから、気圧がなくなれば破裂してしまうだろうというわけです。

ちょっと考えてみれば、これはおかしいと気づきます。例えば人がイスに座るとイスにはその人の体重がかかりますが、ちゃんと支えてくれます。でも、支えていた体重分の力がなくなってもイスは爆発したり飛び上がったりはしません。あくまで力が加わったときに、それに反発する力(反作用)が起きるだけで、もとになる力がなくなれば反作用もなくなるだけです。

血液が沸騰するというのは、気圧が下がると液体の沸点が下がり、より低い温度で沸騰するからです。しかし、血液は血管の中などに閉じ込められていて、常にそれなりの圧力がかかっているので沸点が下がったりはしないのです。

では、宇宙空間は極寒のため、体が凍るというのはどうでしょうか?これは1番起こりそうですが、やはり事実ではありません。

熱はモノからモノに伝わります。地球上では空気があるため寒いところに行けば空気を通して体の熱が奪われます。風が吹けばより寒くなりますしね。

ところが宇宙空間は真空に近いので熱が伝わる対象がありません。そのため周囲が絶対零度に近いほどの極寒であっても瞬間的に凍ってしまうことはないのです。もちろん長時間いれば、いずれは凍ってしまいますけどね。

この真空中では熱が伝わりにくい原理は、二枚のガラスの間を真空にして断熱性能の高い窓に使われていたり、飲み物が冷めにくいタンブラーなどに応用されていたりします。

なお、ソ連が1971年に打ち上げた宇宙船・ソユーズ11号では、帰還時の大気圏突入準備中に、船内の空気が漏れ真空に近い状態になるという事故が起こりました。この事故で死亡した3人の乗組員の死因はいずれも体が破裂したり、血液が沸騰したためではなく、窒息死でした。

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