トマトには毒がある!?安全を証明するために裁判所で命がけでトマトを食べた男の話

食物の雑学
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5月に入って一気に気温が上がり、我が家ではエアコンを使い始めました。もう夏の始まりですね。

ところで夏が旬の野菜といえばいろいろとありますが、その代表の一つにトマトがありますね。トマトは美味しくて栄養たっぷり、生で食べても、加熱して食べても美味しいですね。

しかし、今ではみんな当たり前のように食べているトマトも、昔は毒があって食べると死ぬと信じられ、誰も食べなかったんです。今日はそんなトマトの歴史について紹介します。

トマトの原産地は南アメリカ大陸。ペルーのアンデス山脈付近と言われています。それが大航海時代にヨーロッパの人々がアメリカ大陸にやってくるようになると、ヨーロッパの国々にも伝わります。

ところが、当時のヨーロッパではトマトは毒があると信じられたため、食用ではなく観賞用として育てられていました。トマトに毒があると思われてしまった理由として、強い毒性のあるベラドンナという植物と似ていることから、同じように毒があると思われたという説が有力です。

ただ、実際にトマトには毒があります。トマトの茎や葉にはトマチンという毒が含まれていて、食べると中毒の危険があります。また、トマトの実も熟す前の実にはトマチンが含まれていて、熟すに従ってトマチンの量が減っていき安全に食べられるようになります。

なので、熟していないトマトを食べるとトマチンの毒によって中毒症状が起きるので、トマトには毒があるというのは間違いではないんです。

といってもベラドンナのように命に関わるような強さの毒ではないようですが。。。なんにしても家庭菜園などでトマトを育てている方は注意したほうがよさそうです。

さて、このようなわけでヨーロッパに伝わってからもしばらくは食べられることはなかったトマトですが、当時は今のように食糧事情がよくなかったため、飢餓に苦しむ人々の中から苦し紛れに食べる人が出てきます。

そうなると食べても危険でないこと、味もよいことが知られるようになり、ヨーロッパでは次第にトマトを一般に食べるようになっていったわけです。

では、ヨーロッパ以外ではどうでしょうか。

日本では17世紀頃にはヨーロッパの国々を通してトマトが伝わったようですが、やはり毒があると信じられたからか、もっぱら観賞用とされ、食べるようになるのは江戸時代の終わりか明治時代頃からだったようです。

アメリカ大陸では、原産地である南アメリカでは原住民がもともとトマトを食べることがあったのですが、意外にも北アメリカではヨーロッパよりも長くトマトには毒があると信じられ、16世紀に入るまで食べられることはなかったのです。

北アメリカ(今のアメリカ合衆国)でトマトが食べられるようになるきっかけとして有名なエピソードがあります。

1520年、ニュージャージーの農場主であったロバート・ジョンソン(ミュージシャンじゃないですよ)という男が、トマトの安全性を証明するために、地元の裁判所の前に人を集めてトマトを食べるというパフォーマンスをしたのです。

それまでトマトには毒があると信じていた人々は大変驚き、それ以降トマトは食用として知られるようになったと言います。

トマトを身近に育てながら毒があると信じて食べなかった時代があるなんてなんだか意外ですね。