鉄道の不正乗車のことをキセル乗車なんていいますよね。運賃をごまかしたり、切符を買わずに自動改札を突破したりするセコい犯罪です。
キセルといえばタバコを吸うための喫煙具の一種ですね。今ではほとんど見かけることはありません。少し前は直接ではなくとも時代劇などでよく見ましたが、今は時代劇もテレビでほとんどやらなくなってしまいましたしね。
不正乗車を表すキセル乗車(煙管乗り)という言葉は大正時代にはすでに使用されていた記録があり、明治時代から大正時代にかけて使われ始めたと考えられます。
しかし、不正乗車と喫煙具のキセルにどういう関係があるのでしょうか?なぜ鉄道の不正乗車をキセル乗車というようになったのでしょうか?
もともとキセル乗車と呼ばれた手口は、実際の乗車区間の最初と最後のところだけ料金を支払い中間の区間の料金をごまかす方法でした。
かんたんに説明すると「A駅ーB駅ーC駅ーD駅」という区間があって、A駅からD駅まで乗車するのに「A駅ーB駅間」と「C駅ーD駅間」の切符を買って、「A駅ーB駅間」の切符でA駅で乗車し、「C駅ーD駅間」の切符でD駅で下車するという方法です。これでB駅ーC駅間の料金を支払わないで済むというわけです。
喫煙具のキセルは刻みタバコを先端の火皿に詰めて火をつけ反対の吸口から煙を吸うものです。材質や形状も様々ですが、火皿に首がついた雁首と吸口の部分が金属製でそれをつなぐ管(羅宇)は竹製のものが一般的です。
キセルの両端だけ金属を使っていることから、乗車区間の最初と最後だけ金を使うということで、このタイプの不正乗車をキセル乗車というようになったんですね。
そんなわけで、最初から切符をまったく買わない無賃乗車はもともとのキセル乗車とは別物ですが、今では不正乗車全般をキセル乗車といっているわけです。