鯛(タイ)というと、まず思い浮かぶのは真鯛(マダイ)ですよね。日本では古来からお祝いには欠かせない高級魚の代表格です。
もちろん、真鯛だけが鯛ではありません。他にも血鯛(チダイ)や黄鯛(キダイ)、黒色で見た目はあまり鯛らしくない黒鯛(クロダイ)などもいます。
しかし、鯛と名前が付く魚はとにかくて、そのほとんどが本来は鯛とは全く関係ない魚なんです。鯛の仲間でもないのに「〇〇鯛」というふうに、さも鯛の仲間のような名前が付けられているんですね。
この記事ではなぜ鯛の仲間でもないのに鯛と名付けられた魚がたくさんいるのか?ということについて解説します。
そもそも鯛(タイ)って?
鯛はスズキ目タイ科の魚の総称であり、全世界の熱帯から温帯に広く生息していている主に肉食性の魚です。世界中におよそ125種もの仲間がいるそうです。
日本でもメジャーなものだけでも真鯛(マダイ)、血鯛(チダイ)、黄鯛(キダイ)、黒鯛(クロダイ)、黄茅渟(キチヌ)、平鯛(ヘダイ)などがいます。
日本で「鯛」とだけ言った場合には狭義には真鯛のことを指します。
真鯛は食用として流通しているのは30~50cm、大きなもので70cm程度が多いのですが、実際には大きなものでは120cmくらいまで大きくなる比較的大型の魚です。
日本近海から中国沿岸や東南アジアの一部まで広く生息しており、日本では北海道、沖縄の一部を除く全域でとることができます。そのため広い海で周く(あまねく)みられることから、「魚+周」で鯛という漢字になったという説もあります。
なぜ偽物の鯛がこんなに多いのか?
〇〇鯛って名前だけど鯛じゃない魚
日本には「〇〇鯛」という名前がついているけど、生物学的には鯛の仲間(スズキ目タイ科)ではない魚がたくさんいます。

甘鯛(アマダイ)
例えば、甘鯛(アマダイ)はスズキ目キツネアマダイ科。

石鯛(イシダイ)
石鯛(イシダイ)はスズキ目イシダイ科。

金目鯛(キンメダイ)
さらに金目鯛(キンメダイ)はキンメダイ目キンメダイ科と、スズキ目ですらない〇〇鯛もいます。
そもそも真鯛が鯛の基本とすると全く見た目が似ていない〇〇鯛も多いですよね。
日本には約350もの「〇〇鯛」という名前の魚がいるそうですが、そのうちスズキ目タイ科の魚は10%以下だそうです。
なぜ偽物の〇〇鯛がこんなにいるの?
真鯛は日本中どこでもとれることからどこの地方でも知名度も高く、味が良いこともあり、食用の魚の代名詞であったようです。
また、昔から真鯛は高級魚としてブランド力があったので、その鯛にあやかるために名前を似せたとも言われています。
とりあえず赤くて白身の魚は〇〇鯛、そうじゃなくても白身の魚なら〇〇鯛というふうに、様々な〇〇鯛という名前がつけられた結果、〇〇鯛という名前の魚がたくさんできたんですね。
まとめ
鯛以外にも美味しい魚はたくさんありますが、それでも日本では昔から鯛が最高の魚とされてきました。そうした影響で鯛の仲間でなくても〇〇鯛という名前の魚がたくさんいるんですね。
ちなみに、鯛という名前の由来はその形が平たいことからつけられたとも言われます。実際に平安時代の文献には鯛のことを平魚と書いたものも残されているそうです。もし、平魚という名前だったら〇〇平魚という魚が日本中にたくさんいたのかもしれませんね。