電話を発明したのは誰か?と聞かれればほとんどの方が「グラハム・ベル」と答えるでしょう。ベルが助手のワトソンに試作品の電話で「ワトソン君、来てくれ」と呼びかけたのが電話での初めての会話だというエピソードはとても有名です。
ベルは、1876年にアメリカで電話の特許を申請して、電話の発明者と認められました。
ところが、2002年、アメリカの議会は電話を発明したのはベルではなく、イタリア人の「アントニオ・メウッチ」であるという決議をしたのです。これにより、電話を発明したのは正式にメウッチであるということが確認されました。
もともと電話のアイデアを考えたのはフランスの発明家「シャルル・ブルサール」です。ブルサールは1854年に雑誌でこのアイデアを発表しました。ブルサールのアイデアを元にドイツの物理学者「ヨハン・フィリップ・ライス」が実験を行いその実現性を証明しました。
1871年、イタリアの「アントニオ・メウッチ」が重病の妻と会話をするという目的で音声で会話できる電話機を開発しました。これが2002年にアメリカ議会で電話を発明したのはメウッチとされた理由です。
ところがメウッチは経営していた会社が経営難に陥り、特許の申請に必要な費用を用意することができませんでした。
メウッチの発明から遅れること5年後。1876年にあの発明王エジソンがアメリカで電話の特許を申請しました。ところがエジソンの申請は書類の不備があるということで受け付けられませんでした。
エジソンの申請から約1ヶ月後に電話の特許を申請して認められたのが「グラハム・ベル」だったのです。
当時のアメリカでは特許は申請書を先に出して受け付けられた人のものであったため、電話を発明したのはベルということになったのです。
余談ですが、ベルから遅れることわずか2時間。「イライシャ・グレイ」という人も電話の特許を申請しています。これについては真偽不明の裏話があります。
ベルの提出した書類にも不備があって、本当はグレイが特許を取るはずだったというのです。ところが当時の役所側の担当者にベルの知り合いがいて、ベルに便宜を図ったために、ベルの書類が先に受け付けられたという説があるのです。
発明というのは誰か天才がパッとひらめいて作られそうなイメージですが、実際にはいろんな人のアイデアや先行する研究があってできているのですね。