暑い夏には冷たく冷やした麦茶がとても美味しいですね。自宅でも安価にカンタンに作れるため、夏の水分補給の定番になっていますね。
しかし、冷たい麦茶が夏の定番になったのは家庭に冷蔵庫が普及しはじめた頃からなのです。
麦茶はもともと麦湯と呼ばれていました。麦湯という名前の通りお湯で煎じたものを熱いまま飲んでいたのですね。
麦湯は煎茶(緑茶)が普及する前の江戸時代初期から庶民の飲み物として親しまれていました。麦湯の元となる麦は初夏に収穫されるため、夏は麦湯が美味しい時期ということで、熱い麦湯は夏の風物詩となったのです。
さらに、緑茶は淹れてから時間がたつと酸化してしまうため作り置きして冷やしておくのには向きませんが、麦茶は抗酸化作用が高いため冷やして飲むのにちょうどよく、現在でも夏の飲み物の定番になっているのですね。
また、人は汗をかくと水分と一緒にミネラルを失うため、水分補給では同時にミネラルを補給することが大切です、麦茶は天然のミネラル分を含んでいるため暑い夏の水分補給にも最適なのです。
ところで、麦湯が庶民に広く飲まれるようになったのはなぜでしょうか?それは江戸時代の食料事情に理由があります。
日本人の主食といえば米。昔から多くの農家は米を作っていましたが、米の収穫時期は秋です。食料確保のために米と逆の時期に採れる穀物として麦の栽培も盛んに行われていたのです。
そのため麦湯は安価で楽しめる庶民の楽しみとして普及し、江戸時代の後期には江戸市中のいたるところに麦湯のお店があって夏の名物となっていたそうです。