人間は家の布団でリラックスして眠りにつくことができますが、野生で暮らす動物たちはなかなかリラックスして眠ることはできません。弱肉強食の世界では常に自分より大型の肉食動物に捕食される心配がありますからね。
それに、中には活動を停止するとそれだけで命に関わる動物もいます。
例えばイルカやクジラなど水の中に住んでいる哺乳類は定期的に水面にでて呼吸する必要があります。人間が水泳のときに息継ぎをするのと同じですね。イルカは40秒に1回のペースで息継ぎをしているそうなのでとても寝ている暇はありません。
また、渡り鳥は数日のあいだ飛び続ける必要があります。もちろん海を渡っている途中は寝ることができません。
こうした寝ることができない動物たちが行っている特殊な睡眠法があるのです。それが「半球睡眠」と呼ばれるものです。
脳は右脳と左脳の2つに別れていますよね。この左右の脳が半分ずつ交代で眠るのが半球睡眠です。完全に活動を停止することなく、なんとか睡眠をとることができるというわけです。
半球睡眠のメカニズムはまだあまりよくわかっていないようですが、すべての脳が眠る完全な睡眠と比べると、とても質が悪い睡眠になってしまうようです。半球睡眠ができる動物でも人間の保護下など、半球睡眠の必要がなくなると、半球睡眠の時間が減り完全な睡眠の割合が高くなるんですね。
それでもやはり睡眠をとらない動物はみられないので睡眠というのは動物にとってとても大切なものなんでしょうね。