先日インターネット上の某SNSで寿司の話題を見かけたのです。その話題自体は他愛ないものでしたが、そのなかでのやり取りを見ていると、「回転寿司は1皿に2貫乗っている」と言っているのです。寿司1貫を1個だと思って話しているようなのです。
これに僕はびっくりしました。なにせ僕は寿司の1貫とは2個セットのものだと思っていたからです。これまでずっと寿司1貫は2個のことだと信じていました。
ところが、回転寿司チェーン最大手のスシローのサイトで確認すると1貫は握り寿司1個として表記されています。一体僕が信じていたのは何だったのか。。。
あまりに納得がいかないのでインターネットで調べて見たところ、1貫は1個だと言う人もいれば2個だと言う人もいるようです。しかし、最近の寿司屋では1貫は1個と考えているところが多いということがわかりました。
寿司の1貫はなんとも不正確で使いづらい単位になっているようです。こうなるといっそのこと1個、2個と数えたほうが正確で良いように思います。
しかし、なぜこのようなことが起きてしまったのでしょうか?
そもそも貫は重さの単位です。1貫といえば3.75キログラム。とても寿司の1個や2個の重さではありませんね。ではなぜ寿司を1貫、2貫と数えるようになったのでしょうか?
実は寿司を1貫、2貫と貫で数えるのは最近になって生み出された新しい文化のようなのです。寿司を貫で数えるようになったのは1990年代頃からで、メディアなどでこれが正しい寿司の数え方だと紹介された影響だといいます。国語辞典では2001年に三省堂国語辞典に記載されたのが初めてで、それまではこの用法は国語辞典にも載っていなかったのです。
1貫、2貫と数えるようになる前は1つ、2つとか1個、2個と数えることが普通で、新しく貫と数えるようになってからも1貫が1個か2個かは正確には定まらなかったのでしょうね。
ただ、昔から寿司は2個セットで提供される慣習があったので、2個で1貫という考え方ができたのだと思います。
ところで、寿司を2個セットで提供するようになったのには理由があります。
今では高級なごちそうのイメージがある寿司ですが、江戸時代の寿司はいまでいうファーストフードでした。握り飯のような大きさで、1個か2個ササッと食べるようなものだったわけです。
この大きめの寿司をより食べやすいようにと、2個に切って提供したのが寿司が2個セットで提供されるようになった理由です。
1貫がこのもともとの大きなサイズの寿司を指すと考えて、1貫で2個ということになったのかもしれませんね。