よくビタミンを多く含んでいることを売りにしたドリンクなどで「レモン○○個分のビタミンC」と書かれているのを見かけませんか?レモン100個分のビタミンCなどと書かれているととてもたくさん含まれているのだろうなと思ってしまいますが、そもそも「レモン○○個分のビタミンC」ってどういう意味なのでしょうか?
文部化科学省が発行している日本食品標準成分表によると、レモン100gに含まれるビタミンCは100mgとなっています。また、国民栄養調査の食品番号表では平均的なレモン1個の重量は120gとされていますが、すべて食べられるわけではありません。可食部はその7〜8割程度でしょう。とすると、レモン1個に含まれるビタミンの量は90mg前後ということになります。
ところが、一般的に食品などに含まれるビタミンの量を表すときにはレモン1個あたり20mgのビタミンCとして計算されているのです。
ということは「レモン1個にはなんとレモン4〜5個分のビタミンCが含まれている」ということになります。
なんだかとても不思議な感じがしますが、なぜこのようなことになってしまったのでしょうか?
実はレモン1個あたり20mgのビタミンCとして計算という基準は「ビタミンC含有菓子の品質表示ガイドライン」という農林水産省が制定したガイドラインが元になっています。このガイドラインは2008年に廃止されたものの、その後も業界団体が統一した基準としてこのガイドラインの数値をそのまま使用することにしたので、現在も同じ基準が使われています。
ではどうしてレモン1個分のビタミンCが20mgという基準ができたのでしょうか?20mgの根拠はレモン果汁のビタミンCが元になっています。
日本食品標準成分表ではレモン果汁はレモン全体の30%程度含まれていて、レモン果汁100gに含まれるビタミンCは50mgとされています。レモン1個が120gとすると[120g(レモン1個重量) × 30%(果汁分) × 50mg(V.C) / 100g(果汁) ≒ 20mg]という計算になるのです。
つまり、「レモン○○個分のビタミンC」という表示は「レモン○○個に含まれるビタミンC」という意味ではなくて、「レモン○○個をしぼってでたレモン果汁に含まれるビタミンC」という意味なんですね。
もともと清涼飲料水用の基準であるため果汁に含まれるビタミンCの量を基準にしたのだと思われますが、筆者としてはどうも一般的な感覚とはズレているのではないかという気がしてなりません。