ツルツルとしたのどごしと歯ごたえ、鼻を抜けるそば粉の香り。日本そばは江戸の粋を受け継ぐ素晴らしい文化ですね。
しかし、現在、スーパーなどで売られるそばのほとんどはそば粉の比率が30%くらいで小麦粉のほうが多いそばもどきなのです。
もともとそばという麺は、植物のそばの実をすりつぶしたそば粉で作るものです。それがいつ頃かそば粉に小麦粉を加えたそばが作られるようになりました。
小麦粉を加えたそばは食感がなめらかでつるっとしたのどごしが楽しめるため、そば粉と小麦粉を2:8の割合で作る二八そばがスタンダードなそばのひとつとして普及しました。
それでもそばといえばそば粉がメインで使われるものでそば粉より小麦粉のほうが多いということはありませんでした。
ところが近代にはいり、工業化が進み、加工食品も大量生産される時代になると、そば粉に比べ価格の安い小麦粉を大量に使った製品が作られるようになりました。
そば粉の比率については「乾めん類品質表示基準」という告示で定められています。それによると、そば粉の比率が30%以上あれば、そば粉の比率を表示するのとなく、そばとして販売することができることになっています。そのためそば粉を30%程度しか使用していない製品が多くでまわっているのです。
また、30%未満でもそば粉の比率を表示しさえすればそばとして販売できてしまいます。さらに、10%未満の場合は10%未満と表示すればよいことになっているので、そば粉を0.1%しか含まない製品でも、裏面の原材料欄に「そば粉(10%未満)」と記載してそばとして販売できてしまうのです。まぁ、さすがにここまでの製品は筆者は見たことありませんが。