車のカタログなどを見ているとエンジンの最高出力○○馬力なんて載っていたりしますよね?エンジンの出力の単位として使われることが多い「馬力」という単位。これは一体何なのでしょうか?なぜ馬の力に例える必要があったのでしょうか?
エンジンの出力はトルク(回転する力)と回転数を掛け合わせたものです。エンジンが果たす仕事の量を表す数字と考えればよいと思います。
現在では出力は国際単位系で定められているW(ワット)で表現することが増えていると思います。ちなみに1馬力は約0.735kWです。
しかし、馬力は長く使用されている歴史があって、昔からのユーザーは馬力のほうがわかりやすいということで、カタログなどでは今でも使用されているのです。
なぜエンジンの出力を馬の力に例えるようになったかというと、話は産業革命時代のイギリスまでさかのぼります。
当時、蒸気機関の発明によって、それまで人力など原始的な方法で行っていた多くの作業が機械化され、工業化が進みました。しかし、革命的な発明であった蒸気機関も最初はその有効性が理解されないこともあったようです。
そこで蒸気機関に大きな改良を加え、実用化に貢献したことで有名な発明家のジェームズ・ワットが馬力という表現を考えたのです。ワットは実際に馬を使って実験を行い、「75kgの物を1秒で1m動かす力」を1馬力と定義しました。当時、人力以上に大きな力を発揮するものといえば馬だったため、馬何等分の仕事をするといえばわかりやすかったんですね。
現在では馬に仕事をさせることもあまりなく、国際単位系へ統一する動きもあるため、馬力という単位はそのうち使われなくなっていくなってしまうかもしれません。
ところで、国際単位系の仕事の単位であるW(ワット)は、馬力を定義したジェームズ・ワットの名前から取られています。馬力とWは実は同じ人物に由来する単位なんですね。