はちみつは永遠に腐らない!?3000年前のはちみつが食べられる状態で見つかったのは本当か? | 今日の雑学

はちみつは永遠に腐らない!?3000年前のはちみつが食べられる状態で見つかったのは本当か?

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はちみつは、水分をほとんど含まず、糖度が80%以上あって高い殺菌力を持つため、長期間保存しても腐ることはほぼありません。保存方法も衛生面を気をつければ常温保存で問題ありません。

そのためはちみつは永遠に腐らないなどといわれることもあります。なかでも有名な逸話として、「エジプトのピラミッドから3000年前のはちみつが食べられる状態で見つかった」というものがあります。

しかし、3000年前はいくらなんでも信じられません。はちみつが腐らないといっても3000年も経てば変質して食べられなくなっているのではないでしょうか?しかも、無人でなんの管理もされていない状態ですからね。

そこで、この3000年前のはちみつについて調べてみました。

まず、インターネットでリサーチしてみたところ、3000年前のはちみつの話は1971年に発刊された「ハチミツの百科」という本が元ではないかということでした。ハチミツの百科は2003年に新装版が刊行されているくらいで、はちみつに関する本としてはかなり有名なもののようです。

ハチミツの百科の著者である渡辺孝氏は、渡辺養蜂場や東洋蜂蜜株式会社を経営し、国際養蜂学会の座長を務めたことがあるなど、はちみつに関しては大変な権威です。「ハチミツ特効食」「ハチミツ健康法」「ローヤルゼリーの科学」などはちみつに関係する本をたくさん書かれています。

もし、こうした権威のある本に3000年前のはちみつの逸話が紹介されているとしたら、事実として広まってもおかしくはありません。

そこで、図書館で「ハチミツの百科」を借り受けて確認してみました。2003年の新装版しか確認できませんでしたが、該当部分はおそらく変更されていないものと思われます。

そうすると、22ページから「古代エジプトとハチミツ」という章があって、次のように書かれていました。

一九一三年にアメリカのT=M=デーヴィスという考古学者がエジプトのピラミッドを発掘したとき、三千三百年前のハチミツのかめを発見しました。(中略)ハチミツは全然変質していませんでした。(中略)このデーヴィスの発見によって、ハチミツが三千年以上の貯蔵にたえることが証明されたわけです。

出典:ハチミツの百科/渡辺孝著

たしかに、3000年前のはちみつの逸話に一致する話ですね。ではこのT=M=デーヴィスの発見は事実なのでしょうか?

T=M=デーヴィスの発掘の記録はインターネット上でも読むことができます。が、すべて英語です。しかたないのでWeblio 翻訳の力を借りて読んでみました。

そうすると、そもそも発掘したのはピラミッドではなく王家の墓だったようですね。そして「蜂蜜またはシロップのような」ものを発見したとあります。しかし、はちみつのような流動性のある液体を見つけたというだけではちみつではなかったようです。

おそらくこの話を誤解して紹介してしまったのでしょうね。それがはちみつの世界では権威のある著者による本だったため事実として広まってしまったのでしょう。

正直なところ、本を読む限り著者の渡辺氏はとにかくはちみつは良いものとして書く節があるように感じます。今回紹介した逸話にしてもそうした著者の気持ちがでてしまったのかもしれませんね。

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